2016年12月28日水曜日

レッジョエミリアの教育的アプローチ

今回はちょっとおおげさかもですが、そらぴよの教育理念についてのお話しです。
大学時代の4年間、私は教育を専門とする学科で学びました。大学関連のキリスト教系幼稚園を巡ったり、その後幼稚園に就職し教諭として働きながら研修などで教育や音楽の勉強を続けました。
ダルクローズやシュタイナー、モンテッソーリなどの自由保育に惹かれたり、絵本の鮮やかで豊かな世界も大好きだし、子どもの遊びを育てるドイツやスイスの暖かみのある木のおもちゃも買い集めたり。
ただ、その後、実際母親になって子どもを持って育ててみてわかったことは、時代によって、場所によって、絶対的な教育は存在しない、ということです。
今、目の前の子どもとしっかり向き合う以上に最高の教育はないと思います。
そして、教育学のみでなく大学やその後の研修や勉強会で私を引きつけたのは、自分で見つける勉強、学問というものが、あらかじめ楽しむために用意された娯楽よりも100倍も楽しくて、わくわくするものであること。
世界は面白いものにあふれていて、楽しすぎる人たちにあふれているということ。それは、大学で出会った色んな分野の教授であり、恩師たちや、一緒に学んで遊んだ仲間たちのおかげだと思います。4年間、睡眠もバイトもそこそこに、私は勉強し、歌い、楽器と合わせたり、読んだり、書いたり、色んな人と会って話したり喋ったり食べたり飲んだり。
この合唱団も、そんな熱気の延長にあります。子どもたちと合唱団を立ち上げ、子どもたちと歌ったり遊んだりミュージカルや映画に挑戦したりする中で、私の中で少しずつ確信になっていったことがあります。
それは、私たちの活動が、今の世界に必要なのではないかということです。
正直最初は方針などなく、子どもたちと一緒にやりたいことを全力でやる日々が続きました。
老人ホームやケアマンションに毎月行って歌いたい、礼拝堂でクリスマスコンサートがしたい、宝塚の方とミュージカルがしたい!戦後70年だから原爆ホームのある長崎に訪問演奏に行きたい!平和のための映画をアメリカ領事館の協力も得て作りたい!
子どもたちと話し、笑い、遊び、考えたり、実行したりやり遂げたりする中で、私たちは今の世の中から失われつつあることを、無意識に補完しているのかもしれないと感じました。
私が今、一番好きな教育論はレッジョエミリアのアプローチです。
これは北イタリアのレッジョエミリア村が、戦後、ファシズムが残していった戦車やトラックを売り払い、自分たちの学校を作ったことから始まります。市の予算多くが教育費に費やされ、町全体で子どもをはぐくみ、豊かにしていく。
こどもたち一人一人の自由な感性を活性化させ、なおかつ仲間と共同して創造的な活動を広げていきます。
それはアートであり、音楽であり、自然であり、子どもたちが飛び込むことによって形成される世界です。
私は教育学を学びながら、そもそも教育という言葉があまり好きではなく、なおかつ先生という立ち位置にも違和感があります。
もちろん責任は引き受け、大人として子どもは全力で守り、学び続けていくことは、はずせません。
でも積み重ねた何かを上から教える立場にはなりたくない。
教えられるものを伝えたいわけではない。教えられるものは、やがで忘れられるし、私たち以外の別の誰かが別の場所でやってくれるからです。
レッジョエミリアでは、この私のジレンマを少しやわらげてくれます。
大人は一緒に世界を体験して、ただそこに連れて行き、子どもたちの感性に目を見はり、耳をすまします。
そらぴよでは音楽を、美しい歌声を、優しいピアノの音を、子ども同志で響き、ハモる楽しさを、自分たちで考える楽しさを、仕事が与えられる喜びを、計画をたてて話し合うことの大切さを、体を動かして実行していくことのワクワク感を、仲間とやり遂げる充実感を。そして、自分たちで世界を変えていく可能性を。
私はそれを教えません。ただ一緒に飛び込み、サポートするだけです。あくまで進めていくのは子どもたち。考えて実行するのは子どもたち。私はそれを整えるだけ。
子どもは体験したことは絶対に忘れません。それは、なにより子どもと共にある私たち大人は、日々の中で実感していることだと思います。
それは、これ以上ないほど力強く幸せな時間です。そして、それは読み書きや受験戦争に突入する前に、もしくは平行して得るべき体験です。
感覚、感性、音楽、芸術、文学。それらはあたかも贅沢品のように、あってもなくてもよいようなふわふわしたものではない。それは想像し、共有し、人と共感していくための、よい意味での強みであり、武器になります。
たとえば高い学力や技術を身につけたとしても、想像力なしに、人と響きあうことなしにはそれは生かされません。それは人がうらやむステータスをあげたとして、空回りし、リターンがない。
私は就活、婚活、終活という言葉が大嫌いです。こんな人生の重要なポイントを、マニュアル化させ想像力を欠いた言葉に変えることに怒りすら感じます。
想像力と学力はに相反しない。むしろそれらはお互いを補強し、活性化させます。高い学力を身につけようとする子どもたちこそ、それに見合った感性や想像力を身につけることが、分断化されつつある世界を繋いで行くのだと思います。
そして、そらぴよに集まってくれる子どもたちは、とても能力が高く、それぞれ個性も強く、楽しいことに向けて繋がって力を合わせることができます。音楽が始まれば、すぐに声を合わせて歌い出せる彼らだからです。
そらぴよは、そういう意味で、歌うだけ、音楽のレベルを上げるだけの合唱団ではありません。
どんな合唱団かは、是非、見学されてみてください。
生き生きした目の子どもたちが、次はどんなことをやろうかワクワクしながら、新しい友達の参加を待っています。
次回のレッスンは年明けの1月14日土曜日午前10時から12時まで、西市民センターであります。

2016年12月13日火曜日

新ぴよさんようこそ!

クリスマスに向けてレッスンが進む中、新しいお友達が見学に来てくださることが続いています。
お母さんはもちろん、お父さんや兄弟姉妹やおばあちゃんまできてくださって、そらぴよのレッスンを楽しんでくださることも。
先週は小学3年生の女の子が、今週は幼稚園年少さんの4才の女の子が仲間になってくれました!
レッスンではひとりひとりの声を聴いたりもするのだけれど、恥ずかしながらもだんだんと楽しそうに、どんどん声が明るく大きくなっていく様子を見ると、ああ、この子は本当に歌うことが好きなんだ!と私もワクワクします。
休み時間やレッスン終わりはギリギリまでみんなで遊んだりピアノで遊んだり。
ピアノは小川洋福岡県知事さんより推薦戴いて、日本生命のニッセイ財団からの補助金で購入したポータブルのコンサートピアノとスピーカーのセットです。
練習場所はテラシス桜花の多目的ホールを貸していただいています。
時々入所されてるお年寄りがこどもたちの歌声を聴きにきてくださることも。
そらぴよはたくさんの方々に支えられています